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3、最近の気候変動とその対応 ホンダの状況  メモ 〔弥永健一〕

1)気候変動に関する報告書,声明など

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)2007年第4次報告書

  「地球システムの温暖化には疑う余地がない、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因であった可能性が高い(9095%の確かさ)。」

 日本、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、ロシア、英国、アメリカの学術会議会長共同声明(20056月)

  「世界の気候のような複雑なシステムを理解しようとする場合、必ずある程度の不確実性がともなう。だが、いまや大幅な地球温暖化が起りつつあるということには強い根拠がある。地表気温や水面下における海水温度の上昇の直接観測や全世界的な平均海水位の上昇、氷河の後退、およびその他の物理上および生態系の変化などの諸現象がこの根拠である。ここ数十年の温暖化の大半は、人間の活動に起因している可能性が高い。」「すべての国が、国連気候変動枠組み条約に従って、気候変動の要因を削減し、その影響に対処し、関連するすべての国家戦略、国際戦略に、この視点が確実に盛り込まれるよう迅速な行動をとることを強く勧告する。」

 2006年末:オーストラリア全土が過去1000年間で最悪規模の干ばつに見舞われ、小麦や大麦の生産が激減。

 2007年:英国南部が60年ぶりの大洪水に見舞われ35万人が水の供給を受けられない状態。ルーマニアでは気温が過去最高の摂氏44度に達し19000人が病院に搬送。ハンガリーでは猛暑での死者が500人。インドやバングラデシュでは大規模な洪水で3000万人が被災。(以上「温暖化地獄 脱出のシナリオ」山本良一、ダイヤモンド社)

2)地球平均気温摂氏2度上昇:海面上昇などにより1200~2600万人移動、10~28億人が水不足、穀物生産低下、1200~2億人が飢餓リスク。珊瑚礁97%死滅。

地球平均気温摂氏3度上昇のときは100万種の生物種絶滅。

2度上昇を避けるためには2050年までに温室効果ガス80%削減が必要(同上書)。

0.99^40=0.67,0.98^40=0.45,0.97^40=0.30,0.96^40=0.20:

 2010~2050年の間に毎年4%ずつ削減すれば80%削減可能;毎年3%なら70%削減;毎年2%なら45%;毎年1%なら67%削減)

3)地球温暖化対策推進法(1998;2005年の京都議定書発効を受けて法改正)

大規模排出企業に対し、排出量算定、国への報告義務。データを国が公表。20054月に目標達成計画(2012年までに1990年排出量から6%削減)閣議決定。

2004年 135500tCO2; 1990年から8%増加。

4条:地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための施策を推進するものとする。

5条:事業者はその事業活動に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置(他の者の温室効果ガスの排出の抑制等に寄与するための措置を含む)を講ずるように務めるとともに、国及び地方公共団体が実施する温室効果ガスの排出の抑制等のための施策に協力しなければならない。

   【注:特定排出者:年間排出量3000tCO2以上従業員21名以上の企業のうち、セメント、鉄鋼、アンモニア製造、廃棄物焼却等には報告義務がある;ただし、航空機運輸、自動車製造等は含まれない。特定企業は約7000~8000。年間約15tCO2排出は、非常に多い部類だが、約13000事業所が把握されている。ホンダ寄居工場による年間排出量は約15tCO2。自家用車約19万台/日(平均走行距離50km)が一年間走行することによる排出量に相当。】

202項:都道府県及び市町村は、京都議定書目標達成計画を勘案し、その区域の自然的社会的条件に応じて、温室効果ガスの排出の抑制等のための総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するように務めるものとする。

214項:(要約)都道府県及び市町村による、毎年一回の措置の実施状況(温室効果ガスの総排出量を含む)公表の義務。

22条:(要約)事業者による計画作成、公表、実施状況公表のための努力規定。

28条:(要約)森林などによる温室効果ガスの吸収作用の保全等。

4)省エネルギー法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)

1種エネルギー管理指定工場:

  年間エネルギー使用量 燃料() 3000kl以上;電気 1200KWh以上

2種エネルギー管理指定工場:

  年間エネルギー使用量 燃料() 1500kl以上;電気 600KWh以上

1種工場は中長期計画を作成した上、国に報告する義務を負う。

2種工場は国への報告義務を負う。

【注:ホンダ寄居工場:年間電力使用量 106,554MWh; 都市ガス使用量 41,280

Nm^3。小川工場については温室効果ガスの排出量、エネルギー使用量ともに、把握出来ず。】

5)気候変動法(Climate Change BillUK

2010年以降毎年前年度より3%の排出削減を目指す。そのために、首相は国家戦略を作成し、毎年報告する。目標量を5%以上超える場合には、原因究明のうえ計画改正。目標量を10%以上超える場合には首相給料を下げる(最高10%)。

2010までに電力の10%を再生可能資源から、2020までには20%。

2010までに運輸部門使用燃料の5.75%を再生可能原料にする。

議員は毎年温室効果ガス排出量削減のための活動内容を報告する。

6)埼玉県地球温暖化対策地域推進計画

平成83月策定;15年 計画策定委員会設置

2010年までに1990年排出量から6%削減目標;2000年には5.9%増加。

199040,669,000tCO2  2000: 43,020,000tCO2

産業部門では生産量低下などにより排出量は低下したが、民生部門ではルームエアコン、テレビ、電気カーペットなどの使用増加などにより8.3%増加。普通乗用車量 11.4倍になった。

地域協議会設置促進;市町村による実行計画促進;事業者による自主的取り組み促進。

排出量毎年把握し、公表する。