東松山市住民訴訟準備書面(2)

 

2019年(平成31年)(行ウ)第3号 損害賠償請求行使等請求事件

原告 AB

被告 東松山市長

準 備 書 面 2 (公表版)

20191015

さいたま地方裁判所第4民事部合議1係 御中

第1 はじめに

   被告による公金支出の違法性が阻却され得ないことを示すために、訴状及び準備書面1に続いて、本件新施設建設地の決定方法に見られる不当性及び不透明性について述べ、また本件事業の違法性について追加する。続いて同施設営業に伴う環境破壊、健康被害等の蓋然性について述べる。さらに、本件違法支出につき、循環組合による平成2930年度の実績報告書(甲第5758号証)に基づき、本件違法事業推進費として東松山市が分担した金額を求め、同金額を改めて本件損害賠償請求金額とする。

   826日、循環組合の正副管理者会議が開かれ、新聞報道等によれば、付帯施設の運営費負担をめぐる意見対立が解消せず、今後組合解散の方向で協議してゆくこととなった。なお、同月9日、吉見町宮﨑善雄町長は、組合管理者を辞任した。しかしながら、本件事業の違法性、不適切性について反省がなされたことはなく、計画地をごみ焼却施設用地とする都市計画決定もそのままである。以下に述べるように、ゴミ焼却施設の立地には最も不適切な計画地において、違法な同施設を建設するために被告によりなされた公金支出による損害は賠償されなければならない。

   なお、831日、被告代理人より第1準備書面が送付された。同書面に対する陳述は準備書面3において行う。

 

2 本件新施設建設地の決定方法に見られる不当性及び不透明性について

   答弁書にある第2の3の「(2)について」(3頁)に

   「新ごみ処理施設等の建設予定地は、埼玉中部清掃協議会に設置された建設検討委員会への諮問、提言を経て平成26326日の平成25年度第4回埼玉中部清掃協議会で決定された。現在の建設予定地についての「内々での理解」を求めているものではないし、建設予定地を一任したものでもなく、(以下省略)」

と述べられている。訴状(4頁)では、平成242012)年1126日に開催された一般廃棄物処理熱回収施設等の整備に関する関係市町村長連絡会議(以下、「関係市町村長連絡会議」。訴状では第2回会議と書いたが、第1回会議の誤記である。)会議録(甲第5号証)にある新井議長からの新施設建設予定地についての発言に、「現在の中部環境の付近とお考えいただきたいと思います。」などと記載されていたこと、また、会議の最後に近い部分で被告東松山市長より「また、新井町長より建設地は吉見町でとの強い決意のもと早急に一部事務組合を立ち上げて、具体的な計画に進んでいただきたい。」などの発言があり、他市町村長らからの異論は記録されていないことを根拠として、建設予定地に関して、当時の新井吉見町長から他市町村長らに、「内内での理解」を求める発言があり、これを受けて被告らから「吉見町に一任する旨が明らかにされた」と述べた。上に述べた答弁書の内容は、これに対する反論であるが、上記会議録の内容には触れず、ただ、新施設建設予定地の決定は、正当な手続きを経て決定されたと主張するものである。

   答弁書に概略が述べられているように、一部事務組合 埼玉中部広域清掃協議会(会長 新井保美)(以下、「清掃協議会」。)が上記関係市町村長連絡会議第1回会議の後、平成252013)年41日に設立され、続いて同年59日 広域清掃推進会議(以下、「推進会議」。)が設置された。更に翌年平成262014)年121日 埼玉中部広域清掃協議会建設検討委員会(以下、「建設検討委員会」。)第1回会議(甲第39号証)において、新井会長より委員会長に建設計画案に関する諮問がなされ、同年318日同建設検討委員会の部会である埼玉中部環境保全組合広域的清掃協議会建設検討委員会地元連絡会議(以下、「地元連絡会議」。)より建設検討委員会委員長宛に、吉見町大串字中山在及び字八幡野の各一部でのごみ処理新施設建設を肯定する提言書(甲40号証)が提出され、同年326日協議会第4回会議において決定された。答弁書では、本件事業についての決定は、このような手続きを経てなされているので、問題はないと主張している。ところが、こうした経過の内容について、上述した関係市町村長連絡会議第1回会議の内容に加えて、推進会議の設置から建設検討委員会新井会長による諮問までの約8か月間に起こった事柄を見ると、本計画の不当性、不公正性が明らかになる。

   推進会議出席者名簿が、原告A[に開示されていることは、準備書面1(3 頁。甲第20212223号証。)に述べた。平成252013)年59日に開催された第1回会議について見ると、出席者筆頭に当時の吉見町町長 新井保美の名があり、役職は清掃協議会会長とされている。以下、副町長 市川近雄、吉見町農政課職員、同農業委員会課長補佐、町整備課職員、続いて、清掃協議会事務局長 根岸正己以下4名、最後に事務局員として町環境農政課職員3名の名がある。第2回、第3回会議出席者については、筆頭に副町長の名がある他は、第1回会議と同じである。会議録及び資料は非開示であるが、出席者名簿から、推進会議は本件施設の建設予定地を吉見町とし、清掃協議会及び吉見町が協同で事務を遂行していたことが判明する。

   訴状及び準備書面1で、その不当性について述べた「要望書」が提出されたのは、推進会議第3回会議(最後の会議で、平成252013)年78日開催。)の後、平成25919日である。非開示である推進会議議事録のなかに、「要望書」に関わる事柄が含まれていることが強く疑われる。

   「要望書」提出の後、平成252013)年1022日に地元説明会が行われ、その後、112日から4日に地元地区に「吉見住民」の名で「ごみ焼却場建設について真実を知ってください」という題名のチラシ(甲第32号証)が配布された。同チラシには、「要望書」が差し替えられて提出されたこと、1022日の説明会では反対意見、質問等続出で大混乱だったこと、なぜ吉見町で広域のごみ焼却場を造らなければならないかの質問に明確な返答がなかったこと、ごみ焼却場が和解を無視して無理やり造られようとしていることなどが記され、「今度は、同意書(一般廃棄物処理熱回収施設の建設)を持って署名集めに来るかと思いますが、署名押印は絶対にしないで下さい。」とも書かれている。

   チラシが配布された直後の平成252013)年116日付で、清掃協議会事務局長 根岸正己から、要望書発起人及び東第2地区区長(飯島新田区長は参加せず、飯島新田は代表として発起人の田島実)、川島町芝沼区長宛に、要望書の取り扱いについて協議したい旨の連絡文書(甲第36号証)が出され、翌117日に「要望書についての協議」(甲第37号証)が開かれた。出席者は上記根岸正己以下、推進会議出席者名簿にある清掃協議会事務局メンバー4名の他、発起人、区長ら(3名欠席)である。会議では、チラシの配布者が誰かについて「犯人捜し」のような発言があり、それに応えて、「事務局」(清掃協議会事務局であろう)から、「情報公開をして会議録や要望書など請求事例がある」との発言があった。「犯人捜し」に関連して、公人ではない区長らも参加している場で、「事務局」から情報公開請求者に関する発言があったことは、地方公共団体が個人情報保護についての責務を負うことに鑑み、極めて不当である。なお、会議録の最後の部分に、(xxxたちが配っているとxxx氏から確認出来たので、xxx氏にその旨伝えし、依頼済み)との記載がある(xxxは、開示された文書で黒塗りされた部分)。

   会議では、「要望書」署名者に配布された「署名していただいたみなさんへ」という、「要望書」の改ざんについて釈明を試みる文書(説明文書とされている。甲第33号証)に関して、「町長が説明文書を配った場合は、受け取りやサインや印などもらった方がよいのではといっているがいかがか。」との発言があった。これは、当時の吉見町町長新井保美が、改ざんされて提出された「要望書」(新施設建設を、大串中山在地区を含む東第2地区住民が歓迎していることを示す内容)の有効性を担保したいと考えていたことを示すものである。町長は、清掃協議会会長でもあり、新施設建設予定地についての諮問も決定もなされていない時点でのこの発言は、甚だしく不当、不公正である。また、説明文書に受取署名、押印などをすれば、チラシ配布者が憂慮していたように、「要望書」に署名した住民らが、「説明文書」を了承し提出された「要望書」の有効性を認める証拠として使用されるおそれがあった。しかし、新井元町長の提言に対し、参加者からは、「印鑑を押させるのはいかがか。署名者は了解済みだ。(中略)こちらから仕掛ける様なやり方は、地区が二分してしまう。」などとの発言があり、提言は容れられなかった。発言のなかで、「署名者は了解済みだ。」とされているが、準備書面19頁)で述べたように署名者の多くが署名を取り消し、甲第34号証に示されているように、「要望書」の提出時(平成25919日)に署名世帯数が299であったものが、平成26610日には同世帯数は160に減じている。署名世帯の過半数は「了解済み」ではなかったことは明らかで、「説明書」にも納得しなかったことが分かる。署名を取り消さなかった住民が「了解済み」であった証拠もない。改ざんされて提出された「要望書」は無効である。それにも拘わらず、被告を構成員として含む清掃協議会は、「要望書」を地元住民が新施設建設を求めている文書として使用することを恥じない。準備書面1(3頁)に述べたように、反対住民の代理人白井弁護士からの「申入書」に対し、被告を含む清掃協議会構成者らは、「また、協議会は、平成258月頃に、4人の発起人に対して、要望書の取りまとめと提出を依頼した事実は、いっさいありません。」と述べている(「回答書」。甲第19号証)。「平成258月頃の依頼」の有無は別として、被告らは、改ざんされた「要望書」提出とはいっさい無関係であるかのように装い、発起人、地元区長らの陰に隠れて自らの不公正さを隠蔽しようとしている。

   住民に回覧された本来の要望書の一行目に、平成18年に温水プール等を要望したことが記されている、ここにある、平成18329日に提出された要望書(甲第27号証。以下、「平成18年要望書」。)について、その内容を検討する。

   同要望書の宛先は、埼玉中部環境保全組合管理者 新井保美であり、発起人としてY(代表)、TMの名がある。ここにある3名は、後に加わった、Kと共に、従前より触れてきた「要望書」の発起人でもある。先に触れた地元連絡会議によって建設検討委員会宛に平成26318日付で提出された文書(甲第40号証)に付された地元連絡会議委員名簿によれば、Mは本件新施設建設予定地周辺地区である東第2地区の土地改良区理事長であり、TKは同土地改良区の顧問である。平成18年要望書には、発起人の他に江和井、芝沼、蓮沼新田、久保田新田、高尾新田の各区長らが押印して名を連ねている。飯島新田区長は押印せず、発起人のTが代表となっている。(問題の「要望書」作成、改ざん、提出にはこの他にニュータウン江和井区長も加わっている。)平成18年要望書と問題の「要望書」は、発起人、関係区長をほぼ共にしている。飯島新田区長は記名押印していない。

   「『余熱利用施設設置』のお願い」と題された平成18年要望書は、「御局におかれましては、平素から地元地域の様々な事業にご協力を賜り(以下略)」との「枕詞」から始まり、「さて、中部環境センター建設にあたり『余熱利用施設』のご説明がありましたが、未だ実現されておりません。余熱利用施設の設置は地元住民のかねてからの要望であり、またそれが焼却場イメージから脱却して愛される地域づくりに繋がると期待しております。」と続き、『温水プール施設』の設置等を求める文章が続いている。「中部環境センター」とは、当時から20年以上前に建設された保全組合ごみ処理施設のことであり、建設当時の『余熱利用施設』設置約束が空語に終始していることについて不満の意が述べられている。また、「約束」が果たされなければ当該地域は「焼却場イメージ」から脱却できない趣旨の言葉が続き、保全組合の現施設が住民にとって「迷惑施設」であることも示されている。この要望も提出された後、7年間にわたり無視されたのであった。

   吉見町町長であった新井保美を清掃協議会委員長としてメンバーの筆頭とする推進会議メンバーから、「要望書」発起人らと地元区長らに、東第2地区に新たな焼却場が作られることは必至であり、この際従来から地元住民の要望であった「温水プール等」の設置を求めれば実現することが約束できるような申し出があり、それを受けて住民に回覧された「本来の要望書」が作成されたと考えれば、一連の事柄は理解できる。また、「本来の要望書」が「御局におかれましては…」などの「枕詞」無しに、「平成18年に(中略)熱利用施設(温水プール)等を要望しましたが」から始まっていることも理解できる。「本来の要望書」の目的は「温水プール」等の設置であり、この要望が長く無視されてきたことに対する控えめな抗議の意思表示としての「枕詞」の省略が含まれていたことも感じ取られる。そして、この住民要望が改ざんされ、またしても「迷惑施設」建設のために使用されることになった。改ざんされた「要望書」は、「平素、地元地域に係るさまざまな事業を実施して頂き、深く感謝申し上げます。」との「枕詞」から始まり、「温水プール」の文言は消されて具体性を欠く「健康施設」などの表現に替えられ、新施設を歓迎する表現が加えられている。このような文書改ざんによって、発起人らと区長らは、準備書面112頁)に述べたように善管義務違反という違法行為をなす羽目に陥った。この文書改ざんもまた、推進会議及び被告も構成員である清掃協議会メンバーによる指示を受けてのことであったと疑わざるを得ない。

   訴状第2の4「基本指針違反」(511頁)に述べたように、「要望書」の改ざん及び建設候補地の評価に関し、住民同意に関わる事柄を欠落させたまま、本件予定地に高評価を与えていたことなどは、本件事業が環境省による「基本指針」(ごみ処理基本計画策定指針)を順守することを偽装するためになされたものである。これら偽装工作に関わる記載が、原告に対して公開を拒否された推進会議の会議録、資料に含まれていることが強く疑われる。ところが、同会議録、資料を非公開とする理由として、吉見町町長による「情報部分公開決定通知書」(甲第20号証)には「広域清掃推進会議は、町の機関と外部組織である埼玉中部広域清掃協議会で構成されており、その審議・検討内容を公開すれば、公正かつ適正な意思決定に著しい支障が生ずると認められるため。」などと記されている。「公正かつ適正な意思決定」とは、当然、推進会議によるものであろう。同会議による審議、検討は、原告江口慶子に対して部分開示された資料によれば平成25(2013)59日から同年78日までの3回の会議で終了している(甲第20212223号証)。原告Aによる上記情報公開請求は推進会議による審議、検討が終了してから58か月経過した平成30(2018)1214日のことである(甲第20号証)。その時点では、推進会議による「公正かつ適正な意思決定」の期間はすでに終了していたので、上記理由文は失当である。

上に述べたように、推進会議による審議・検討内容を非公開とする真実の理由は、本件事業についての審議・検討内容に、「基本指針」違反など、事業推進が公正さ、適正さを欠くことを示す内容が含まれていることを隠蔽するためであろうと考えざるを得ない。

3 本件事業の違法性及び指針違反(追加)

1) 都市計画法第18条の2の第4項違反

  表記の法の条項は、「市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない。」と定めている。(ここに、「基本方針」とは、同法第18条の2の第1項より、「当該市町村の都市計画に関する基本的な方針」のことである。)吉見町の基本方針は、「第五次吉見町総合振興計画 後期基本計画」(平成27年度策定、平成28年度から令和2年度まで有効。)に当たるものと見られる。同基本方針のなかで、ごみ処理に係る部分は、「目標2 緑と調和した安全・安心な生活空間のあるまち」の「(3)快適な生活環境」の他には見られない(甲第41号証)。同部分には、「町全体でごみの減量化に向け、再使用、再生利用などによる循環型社会の形成を促進します。」と書かれている。本件計画の主たる内容はごみ焼却であり、これを「再使用、再生利用などによる循環型社会の形成の促進」などと強弁することは到底許されない。本件計画は吉見町の基本計画に即したものであるとはいえない。

2)公有地の拡大の推進に係る法律第3条第1項及び地方自治法第2条第14項違反

     公有地の拡大の推進に係る法律(以下、「公有地拡大法」。)第3条第1項は、「地方公共団体は、農林漁業との調和を図りつつ、良好な都市環境の計画的な整備を促進するため必要な土地を公有地として確保し公有地の有効かつ適切な利用を図るように努めなければならない。」と定めている。また、地方自治法第2条第14項には、「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」との定めがある。

   ところで、本件ごみ焼却場に必要な敷地面積につき、平成26326日に埼玉中部広域清掃協議会(以下、「広域清掃協議会」。)が発表した「建設候補地評価書」(以下、「候補地評価書」。)の「(1)建設候補地の選定」の表【建設候補地の条件】の「6 必要となる敷地面積」には、

   「・基幹施設(一般廃棄物処理熱回収施設、粗大ごみ処理種瀬悦等)2.0ha

    ・周辺施設(健康増進施設、運動施設、農産物販売施設等)3.0ha

と記されている(甲第42号証)。

   平成31326日に公示された、本件に係る都市計画決定(甲第43号証)にもあるように、本件計画は「ごみ焼却場」として位置づけられている。ところが、上記「6 必要となる敷地面積」にあるように、計画地面積約5haのうち、本来のごみ焼却施設等に必要な部分は、二分の一以下の2.0haであり、その他の施設(周辺施設)面積として3.0haを要するとされている。特に、周辺施設のうち、運動施設については、隣接する場所に東部緑地公園(甲第44号証)があるところから、その必要性についてはより具体的な説明があるべきであるが、見当たらない。また、「健康増進施設」などの具体的内容についても不明である。これら施設が「住民の理解と協力」を得るために必要であるというならば、循環組合はまず、その管理者が保全組合管理者として住民と交わした和解条項を尊重し、本件地区におけるごみ焼却場新設事業を中止することから始めるしかない。

   本件事業が仮に適正であるとしても、そのために必要な敷地面積は2.0haであり、それを大幅に超える5.0haを要するとしていることは、「公有地拡大法」に反するとともに、地方自治法第2条第14項にも違反する。

3)第5版 都市計画運用指針 (国交省 平成1511月)違反

   上記 都市計画運用指針(以下、「国交省指針」。)のC-2。汚物処理場、ごみ焼却場、その他の廃棄物処理施設 の2 廃棄物処理施設の計画に当たっての留意事項 の(4)位置 の ③ に

   「災害の発生するおそれの高い区域に設置することは望ましくない。」

との定めがある。(214頁)(甲第45号証)。ところが、吉見町が発行した「吉見町洪水ハザードマップ」(平成223月)(以下、「洪水ハザードマップ」。)によれば、計画地は、荒川流域の3日間総雨量548mm 程度の大雨(200年確率の大雨)が降れば、吉見町東部を流れる荒川が氾濫して水没し、水深2~5mに達する(荒川水系荒川浸水想定区域図 国土交通省)とされる(甲第35号証)。この事実は、循環組合が平成30年に発表した、「(仮称)埼玉中部資源循環センター施設整備基本設計(案)」(以下、「基本設計(案)」。)の7.2.2 ランプウェイ(76頁)の表7.13 の下部の注欄にも

   「新施設の建設予定地は、「2.3.6 洪水ハザードマップ」に示すように、荒川氾濫時には2.0~5.0m 未満の浸水被害が想定されており浸水対策が必要であること(以下略)。」(甲第44号証)。

との記述があり、循環組合も認識していたことが知られる。200年確率の大雨というと、ごくまれな現象であるようにも思われるが、今後30年間にこのような現象が起こらないということはいえない。また、気候変動の深刻化が進行している現在、大雨の強度、頻度は共に増大しており、洪水ハザードマップに示されるリスクを軽視、無視することは許されない。本件計画地の位置設定は、このリスクを無視するものであり、国交省指針に反している。

   ちなみに、本件計画地に隣接する保全組合施設の標高は約14mであり、東松山市役所の35m、小川町役場の91m などと比べ、循環組合構成9市町村のなかで最も低い位置にあり、計画地周辺の旧家では、大雨時の浸水に備えてボートを備えている。

   ところが、項を改めて述べるように、候補地評価書では、計画地における浸水被害に関して洪水ハザードマップを無視し、ことさらに被害程度の低いことを示す資料を用いて浸水被害の程度は8か所の候補地のなかで最も低い地区の一つであるとしている。災害時において機能不全又は破損、損壊などに至るおそれがある施設の建設計画に当たっては、災害のリスク評価として合理的なもののなかから十分に厳しい資料を選んで評価することが、地方自治法第2条第14項にある「住民の福祉の増進」に努めるべき地方公共団体の責務であるが、計画地の位置決定は国交省指針に反するのみならず、同地方自治法の条項にも反している。

   国交省指針違反は、これにとどまらない。吉見町が平成283月に発行した「吉見町地震ハザードマップ」(以下、「地震ハザードマップ」。甲第46号証)によれば、計画地は、関東平野北西縁断層帯においてマグニチュード8.1の地震が発生することを想定した際、震度7程度の揺れに見舞われ、液状化する可能性が高いとされる。この事実は「基本設計(案)」が発表された時期には知られていたはずであるが、同案には指摘されておらず、計画地の北東約5キロメートルの場所にある綾瀬川断層でマグニチュード8程度の地震が30年以内に発生する確率は0~0,008%であるとして、あたかも綾瀬川断層に発する大地震のみが、計画地における被害をもたらすかのような表現を用い、地震ハザードマップを無視して、地震被害については心配の要は少ないと思わせるような記述がされている(2.3.5 活断層 9頁 甲第44号証)。これも、国交省基本指針に違反している。

ちなみに、候補地評価書は、計画地は大地震の際に液状化するおそれはなく揺れの強度も候補地のなかで最も低い地区の一つであるとしている。これについても項を改めて述べるが、候補地評価書にあるこの部分の記載は虚偽記載であるとしかいえない。

4 候補地評価書に見られる虚偽記載、吉見町元町長 新井保美による有印虚偽公文書作成

1) 候補地評価書に見られる虚偽記載及び不適切記載

  先に述べたように、候補地評価書は広域清掃協議会により、平成26326日に作成され、計画地の位置決定のために用いられた。同評価書の11頁にある、(4)評価結果 表 の 7 地震対策の必要性、8 水害の危険性 には、計画地 大串中山在地区が、78共に最高点を与えられている(甲第42号証)。ここで、前者は虚偽記載、後者は不適切記載であるので、それぞれにつき、以下に述べる。

1-1)      地震対策の必要性に係る虚偽記載

候補地評価書資料編(甲第47号証)の47頁では、吉見町危険度マップに基づき、深谷断層に発するマグニチュード7.5の地震を想定し、揺れの大きさ及び液状化の可能性につき、計画地に候補地のなかで最高の評価点(候補地のなかで、液状化及び揺れの危険性が最も小さいものの一つ)を与えている。評価書が発表されてから2年後の平成283月には吉見町地震ハザードマップが発行され、計画地における地震災害の深刻さが判明していたが、評価書の、この箇所における記載が訂正されることは無かった。

また、同資料編51頁にある表の下部に、候補地の土質、地震の際の液状化の可能性等について評価するために、町の地質台帳等のボーリングデータにより、概ね10mまでの柱状図により評価を行ったことが書かれている。

計画地の4地点におけるボーリング柱状図は59頁にあり、特徴的なことは土質の軟弱性を示すN値がほぼ0の土質がほぼ地下15メートルまで続いていることである。これは、計画地の土質が著しく軟弱であり、構造物等の支持地盤としては不適であって、地下15メートル以上までの杭を多数用いる等、地震対策を要することを示している。地震の際の液状化判定方法について、「大阪府構造計算適合性判定 指摘事例集 -よくある指摘事例とその解説― 2016年版 大阪府 一般財団法人 大阪建築防災センター、一般財団法人 日本建築総合試験所、一般財団法人 日本建築センター

協力 大阪府建築行政連絡協議会、一般社団法人 日本建築構造技術者協会関西支部」の 5 地盤及び基礎構造 の5.1 液状化の判定と対策 B(以下、「液状化の判定」。)の解説の2に、「液状化のおそれのある地盤条件及び液状化の判定について」には、液状化のおそれのある地盤条件として、N値が概ね15以下であることなど4条件が挙げられている。(甲第48号証)。これは、先に挙げた吉見町地震ハザードマップによる液状化の可能性がある地域に計画地が含まれていることとも整合する。また、「液状化の判定」には、専門的な判定式が示されているが、同式にはN値が組み込まれている。地盤の軟弱性が高ければ液状化の危険性も高いことは、当然である。ところが、候補地評価書資料編(甲第47号証51頁)では、計画地のボーリングデータから、非砂層の厚さと砂層の厚さの比を計算し、それのみにより、同地区での液状化の可能性は低いとの評価を下している。地盤の軟弱性の程度は全く考慮されていない。このような液状化評価は「液状化の判定」には見られず、資料編における評価方法の出典も示されていない。同評価は吉見町地震ハザードマップとも矛盾する。

ところで、本件事業に関する環境影響評価のため、循環組合が株式会社ソイル技術研究所に計画地の土質調査を委託し、平成292月に同研究所より報告書(甲第49号証)が提出されている。計画地が地震の際に液状化する可能性についての判定結果が42頁の表にあり、深度約14メートルまでの地層は液状化の可能性が高いとの判定がなされている。それよりも深い地層については液状化の可能性は低く、それら地層全体について積分式により評価すると、液状化の可能性は低いが、43頁の表に、「特に重要な構造部の設計に際しては、より詳細な調査が必要。」との記載がある。深度訳14メートルまでの地層で液状化の可能性が高いことは重大である。候補地評価書で、計画地における液状化の危険性が低いと記載し、資料編でも同様な評価を与えている記載部分は虚偽記載であるというしかない。

1-2)      水害の危険性についての記載の不適切性

  候補地評価書資料編 水害の危険性62頁(甲第47号証)には、計画地は同63頁にある吉見町湛水想定区域図の指定区域には当たらないとし、水害の危険性について、同地に最高の評価(水害の危険性が最も低い)を与えている。この評価も、先に述べた吉見町洪水ハザードマップによる評価と全く異なる。ここに挙げられた吉見町湛水想定区域図とは、資料編62頁にあるように、埼玉県指定の湛水想定区域図の一部であり、同区域図は、埼玉県雨水流出抑制施設の設置等に関する条例の第10条(甲第50号証)に基づくものである。ところが、同条例は、1haを超える面積の盛土を実施する場合に、保水力低下による雨水流出増加を抑制するために調整池などを設置することを義務付けるために定められたものであり湛水想定区域図は、調整池の機能が失われる河川の氾濫などを伴う大規模な水害についての想定よりも、より通例に近い溢水状況における湛水を想定し、調整池の設計に当たって参考にするためのものであると考えられる。本件ごみ焼却炉は、荒川の氾濫を伴う重大な水害の際には、調整池機能が失われるのみではなく、施設の機能不全あるいは停止などによる他市町村をも巻き込む被害、あるいは施設損壊などによる有害物質の漏出などによる周辺地域への深刻な被害を発生させる可能性がある。湛水想定区域図とは大きく異なる吉見町洪水ハザードマップに基づく、大規模水害時には計画地は2~5メートルの浸水地域に含まれるとの指摘を無視し、盛土に伴う調整池設置のための湛水想定区域図を用いて、計画地の水害被害は案ずるに当たらないとする候補地評価書の記載は著しく不適切である。

2) 元吉見町町長 新井保美による有印虚偽公文書作成罪

  計画地は水田地域であり、平成3012月までは農業振興地域であった。同地をごみ焼却場用地とすることは、農業振興地域指定を廃止しないかぎり不可能であった。従前より述べてきたように、同地はごみ焼却場用地とするのには、最も不適な土地であるが、この地区の5haを同用地とすることは、元吉見町町長 新井保美にとって手段を択ばず実現するべき理由があったようである。平成28418日付の、埼玉県知事 上田清司宛の文書「吉見町農業振興地域整備計画の変更に係る事前協議について」(吉発第243号 提出者 吉見町町長 新井保美)(公印あり。甲第51号証)に、新井保美は、当該地区を選定した理由等として上に述べた「建設候補地評価書及び建設候補地評価書資料編」を添え、計画地を農業振興地域指定から外すことを求めた。同候補地評価書及びその資料編には、先に述べたように、計画地の地盤が良好であり地震の際に液状化する可能性は少ないとの、虚偽記載が含まれる。このような、重大な事案についての虚偽記載を含む公文書の作成は、刑法第156条が禁ずる有印虚偽公文書作成罪に相当する。

5 本件事業実施に伴う、周辺住民の人格権侵害

   ごみ焼却に伴い、様々な有害物質が生成され、その排出濃度が基準値以下であるとしても自然環境や周辺住民への被害は無視できない。本件施設には、隣接する飯島新田地区のほか、施設の「地元地区」として知られる江和井地区及び芝沼地区があり、それぞれ自治会に登録された世帯数は、飯島新田が83、江和井が102、芝沼が29で、合計214世帯になる(甲第34号証)。これら「地元地区」は、いずれも計画地から1.5km以内の近距離にある(甲第52号証)。水害や大規模地震の際に、施設の機能が失われ、又は施設の損壊、破壊等が起これば、有害物質の排出量は一挙に増大し、周辺住民の身体、健康被害、立ち退きの必要性などが起こる蓋然性が高い。憲法第25条によって保障される権利の侵害が起こる蓋然性が高く、この点においても本件事業が違法である可能性が生ずる。また、災害による事故等の際には、ごみ焼却をこの地区に依存する、東松山市を含む9市町村のごみ処理事業は停止する。本件事業により周辺住民が憲法第25条により保証される権利が侵害される可能性が高いことを認識しながら、同時に、原告らの生活に欠かせないごみ処理が災害時には停止することについて懸念することを余儀なくされることは、憲法第13条によって保障される原告らの人格権をも侵害する。

ごみ焼却施設から排出される有害物質には様々な種類があるが、ここでは、ダイオキシン及び水銀について述べる。

1) ダイオキシン

  ダイオキシン類は、プラスティックをほぼ摂氏300度で焼却する際に多く発生する。ダイオキシンの大量排出による事故としてよく知られるものに、セベソ事故がある。ウィキペディアの「セベソ事故」(甲第53号証)。に基づき、概略を述べる。

   1976410日に、北イタリアのミラノに近いセベソで、農薬工場での事故があり、代表的なダイオキシンであるTCDD30~130㎏が住宅地を含む約18㎢(半径約2.4km の円の面積に当たる)の地域に飛散した。その日のうちに、家禽、ウサギなどの動物3,300が死亡し、続いて住民の間に皮膚疾患などの発生、糖尿病、心臓病、癌、ホジキン病、肉腫の増加等が見られ、事故翌年の46月には妊婦の流産率が34%にのぼった。高汚染地域では居住禁止などの措置が取られ、ダイオキシンによると見られる健康被害はその後7年間にわたって続いた(TCDDの半減期は7年である)。これは、ダイオキシンの飛散により、住民に深刻な健康被害が発生し、被害は長期間にわたって続くことがあることを示している。

   現在、国内のごみ焼却炉ではプラスティックごみの焼却によるダイオキシンの発生を抑制するために、焼却温度を摂氏800度以上に設定し、一定の時間持続させた後急冷し、発生するダイオキシンを活性炭によって吸収させた後にバグフィルターによって吸着させる。焼却炉が機能不全などを起こさなければダイオキシンの発生率は抑えられるが、発生量はゼロになることはない。環境中にながく停留するダイオキシンによる自然環境及び住民の健康に対する被害は無視できない。地震や水害による焼却施設内のインフラ機能不全、停止、また、焼却炉の損壊、倒壊などが起これば甚大な災害に至ることは前に述べた。  

2) 水銀

  ウィキペディア「水銀中毒」(甲第54号証)によれば、水銀及びその気体は神経毒であり、ながく摂取すれば死に至ることもある。また、水銀は元素であり、焼却により分解、消滅することはない。植物は湿った常態では水銀を吸収し、乾燥したときは排出する。計画地の周辺には、先に述べたように、水田地帯があり、焼却炉から水銀が排出されれば農業被害が起こる可能性がある。

   環境中に排出された水銀が表層水に達すると、微生物によって毒性の高いメチル水銀に変換され、それが生物、特に魚類の体内に取り込まれて凝縮され、それを摂取することにより水俣病が発生したことは広く知られる。

   2011930日に、水銀汚染検証市民委員会によって発行された「清掃工場の連続水銀事故の検証と課題」(以下、「水銀事故検証」。甲第55号証。)の第2部 1.「事故の原因―事業者犯人説―についての検証」(青木泰)によれば、世界の水銀使用量の1割は電池に使われている。国内では電池に水銀を使用することは禁止されているが、ボタン電池等に水銀を使用する国はまだあり、国内で使われる電池の4割は輸入品である。電化製品やおもちゃなどに組み込まれるボタン電池は、取り外すことが困難で、「廃プラ」に混入したこれら製品が焼却されれば気化した水銀が発生する。

   本件事業に係る水銀汚染対策としては、環境影響評価書第2章の2.6.6 設備計画にある表2.6-6 設備計画概要(甲第56号証)に、「活性炭等吹込み方式」とのみ記されている。水銀排出基準は定められていないが、水銀が有毒物質であり、排出抑制の必要があることは、事業者によって理解されていることになるが、これだけの記述では理解困難である。

   活性炭吹込みによる水銀排出抑制方法については、先に述べた「水銀事故検証」に紹介されている。それによれば、先に述べたように、プラスティックの焼却に伴うダイオキシン発生を抑制するために摂氏800度以上の高温での焼却が行われるが、その過程が終結すると冷却水注入などによって摂氏150~200度程度まで急冷させ、その際に活性炭の吹込みが行われる。水銀を活性炭にとりこみ、更に必要な処理をしたうえで、バグフィルターによってろ過することにより、排出を抑制する方法である。ところが、「水銀検証」の 3.「ごみ焼却施設における水銀等重金属の挙動」(村田徳治)(甲第55号証)には、ごみ焼却炉メーカーの公開特許資料(特許公開 2006-263513 発明の詳細な説明 背景技術 0003)が紹介され、それには

   「バグフィルターの入口での温度が摂氏150~200度程度の排ガスの中では金属水銀はそのほとんどがガス状で存在し、そのため活性炭によって物理吸着され難く、ごみ焼却炉排ガス中の金属水銀の除去が十分ではなかった。」

などと記されている。災害による事故がない状態でも、焼却炉から常時水銀が排出され、周辺住民の身体を蝕む。事故の際の被害は一層深刻なものとなる。

 

6 損害賠償請求金額

 

   原告らは、訴状(12-13頁)において、被告が、埼玉中部資源循環組合負担金として、同組合元管理者 新井保美、並びに宮﨑善雄の求めに応じ、平成291117日に、37,396,000 円、平成30426日に 22,633,000 円、同年622日に 33,950,000 円、同年920日に 22,633,000 円、同年1127日に33,953,000 円、(平成29年度分 37,396,000 円 (第4半期)、平成30年度分 113,169,000 円)合計 150,565,000 円の違法支出を行ったとして、被告が同金額の損害賠償請求を森田光一に対して行うことを求めた。

 

   上記請求額のうち、直接本件事業の推進に用いられた部分を特定し、それを改めて訴外賠償請求金額とする。

   

1)     平成29年度第4半期分についての事業推進金額

   循環組合による、平成29年度 一般会計歳入歳出決算書(以下、「29年度決算書」。甲第60号証)(2)によれば、同年度の歳入合計は 564,723,000 円(これをAとする。)である。また、同組合による、同年度の、主要な施策の実績報告書(甲第57号証)によれば、同年度における東松山市負担金は 124,651,000 円(これをBとする。)になる(7頁)。B/A=22.0% となり、平成29年度の組合歳入金額のうち、東松山市は22.0%を負担したことになる(B/A=22.072945% であるが、小数点以下2位以下は切りすてる。以下も同様。)。

   29年度決算書(15頁)によれば、同年度に、技術支援業務委託料、環境影響評価業務委託料、施設整備基本設計策定業務委託料として、合計 56,340,524 円(これをCとする。)が支出された。同金額が同年度における事業推進費に相当する。(これら支出について、より具体的な内容は、甲第59号証平成29年度分に関する表にある。)同金額C22.0%、即ち 12,394,915 円が、同年度における本件事業推進費のうち、東松山市負担分に当たる(1円以下は切りすてる)。ただし、被告に求める損害賠償請求金額は、同年度の第4半期分に相当するので、同金額の1/4即ち3,098,728円(これをDとする。)を改めて平成29年度第4期分の損害賠償金額とする。

 

2)平成30年度についての事業推進金額

  循環組合による、平成30年度 一般会計歳入歳出決算書(以下、「30年度決算書」。甲第61号証)(2)によれば、同年度の歳入合計は541,807,000 円(これを、Eとする。)であり、同年度の、主要な施策の実績報告書(甲第58号証)によれば、同年度の東松山市負担金額は、113,169,000 円(これをFとする。)になり、F/E=20.8%となる。30年度決算書(17頁)によれば、同年度の事業推進費(技術支援業務委託料、建物調査積算業務委託料、環境影響評価業務委託料、事業者選定支援業務委託料、その他委託料。これらのより具体的内容は、甲第59号証の平成30年度分の表にある。)は、37,135,044 円となる。同金額の20.8%即ち平成30年度事業推進費の内、東松山市負担金額は、7,724,089 円(これをGとする。)となり、この金額が、被告が損害賠償請求するべき平成30年度分の金額となる。

 

3)損害賠償請求金額

   平成29年度分及び同30年度分の請求金額合計D+G=10,822,817 円を、改めて被告が森田光一に請求するべき金額とする。